【コラムNo21】 条件付き合格制度を利用した大学院留学は可能か?

【コラムNo21】 条件付き合格制度を利用した大学院留学は可能か?

今回は、非常に問い合わせの多い条件付き合格制度について、正確で新鮮な情報をお届けしたいと思います。

特に英語力が思うように伸びず、TOEFLやIELTSといったスコアが伸び悩んでいらっしゃる方は、現在この条件付き合格制度を使って大学院留学を実現させようと思っている方も多いのではないでしょうか?

しかしこの条件付き合格制度に関しては、留学先(国)によって条件や可能性が異なるだけではなく、ここ10年間で随分と状況が変化したため、なかなか正しく新鮮な情報を入手することが困難な状況ではないかと思います。

特に大学院留学における条件付き合格制度となるとなおさら正確な情報を見つけるのは難しいと思います。是非下記ご参考頂き、正しい情報の元、条件付き合格制度をご検討頂ければと思います。

まず条件付き合格について簡単に解説すると、出願時に英語力を証明するテストスコアを提出せず出願ができ、テストスコア以外の書類で審査を開始してもらうことができる制度です。審査後合格すると、入学までに必要な英語力向上を条件に合格をもらえる制度ということです。

なお条件付き合格制度について詳しく知りたい方は、下記のテーマ別セミナーにて詳しい解説をしておりますのでご確認下さい。

大学院留学テーマ別ウェブセミナー:条件付き合格とそのリスク
→ http://youtu.be/O3LJ9BQdmzU

この英語力に自信がない方にとっては非常に助かる条件付き合格制度ですが、間違った情報、特に大学留学の条件付き合格と混合されてしまう方が多いため、ここでは大学院留学における条件付き合格の正しい知識について解説致します。
(今まで各種セミナーでは下記内容については詳しく触れていません。)

1. 大学院で条件付き合格を提供している主な留学先(国):
→ イギリス・オーストラリア
なぜこの2カ国なのか、という点については上記ウェブセミナーにて解説しています。

2. 大学院で条件付き合格を提供しているコース(専攻など):
→ 決まっていない

通常海外の大学院では、条件付き合格を提供するか否かは各学校ごとではなく、コースごとで決まっています。これでは大学院が大学のように入試課(アドミッションオフィス)にて画一的な審査が行われているわけではなく、各コースの担当教官が独自に決めているためです。そのため、オーストラリアの大学院などでは、同じ学校が開講しているコースでも、あるコースは条件付き合格を提供しているが、あるコースでは提供していない、といったことが起こります。

3. 北米の大学院における条件付き合格の可能性:
→ ほぼない

北米では、大学院ではなく大学では非常に幅広く条件付き合格制度を取り入れており、英語力(TOEFLやIELTSのスコア)がなくても出願ができ、条件付き合格取得後、大学付属の英語学校で学びながら入学準備を行うことができます。

また、北米の大学では近隣の英語学校と提携している学校もあり、英語学校のコース終了証明書がTOEFLやIELTSのスコア代わりになるケースもあります。こういった場合はまず英語学校に入学し、その後提携先の大学へ入学を認められるケースがあります

しかし北米の大学院ではほぼ全ての学校で条件付き合格制度はなく、出願最低スコア(TOEFLまたはIELTSのスコア)を提出しませんと審査を開始してもらうことができません。

英語コースの終了証明書がTOEFLやIELTSのスコア代わりになることもありません。ただごく稀に地方の州立大学の大学院や、都市部の私立の大学院で条件付き合格制度を取り入れている学校がありますが、非常に稀なため、北米で条件付き合格制度利用して大学院留学をしようとすると、選択肢が非常に限られてしまいます。

4. その他ヨーロッパやアジアなどの大学院における条件付き合格の可能性:
→ ほぼないが、出願最低スコアに多様性がある。

残念ながら現状では、イギリス、オーストラリア以外の国の大学院は英語力に関する条件付き合格制度は行っていません。

ただ、イギリス以外のヨーロッパやアジア各国の大学院で開講されているコースで設定されている出願最低スコア(TOEFLやIELTSのスコア)は、北米のそれと比べるとそこまで厳格ではなく、例えばTOEICで出願可能な学校もありますし、IELTS50~5.5程度で出願可能な学校も存在します。

5. 条件付き合格取得後、条件となっているスコアが取得できない場合:
→ 翌年に移行してもらうことが可能

通常、オーストラリアの大学院は2月と7月の1年に2回入学チャンスがありますので、もし条件となるスコアが取得できない場合、次の入学チャンスに移行してもらうことができます。イギリスの大学院はケースバイケースで、翌年の入学チャンスに移行してもらう依頼を行い結果を待つことになります。ただ一部のコースを除きほとんどのコースで移行することを認めています。

以上のように条件付き合格制度といっても非常に複雑な面もありますので、条件付き合格制度を使って留学をご検討されている方は、こちらの情報及び、上記ウェブセミナーをご受講頂き、正しい情報を持ってご準備を進めて下さい。

また、北米の大学院を併願される方は、「【コラムNo 19】 出願締切り(Deadline)はTOEFLスコアの提出締切りではない」も是非ご確認下さい。