業界別チェック! 世界の有名企業(その2)

地元の銀行から見える新興国の成長率!

一般的に、日本やアメリカのように経済発展が大きく進んだ国を先進国、そうでない国を発展途上国といいますが、別の定義として、現在めざましく成長している国のことを「新興国」といいます。

一昔前は「BRICs」(ブラジル、ロシア、インド、中国)が大きく取りざたされ、やがて「VISTA」(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)や「CLMB」(カンボジア、ラオス、ミャンマー、バングラデシュ)などと、世界経済の成長速度とともにその対象は広がっていきました。

BRICsでは、中国の国有銀行の規模は世界でもトップクラス。他の3カ国は中国とは大きく離れていますが、いずれも1人あたりのGDPが先進国の3分の1から10分の1程度とかなり低く、将来のインフラ開発や技術投資のための借り入れ需要があると考えられます。また、個人消費も伸びているので住宅・自動車購入の際のローン増加も期待できるでしょう。

参考までに、以下でBRICsの主な銀行について財務を比較しました(数字は2010年)。

●ブラジル
ブラジル銀行 Banco do Brasil →(ROE 27.00%/不良債権率 2.30%)
イタウ・ウニバンコ Itaú Unibanco →(ROE 24.10%/不良債権率 5.80%)
バンコ・ブラデスコ Banco Bradesco →(ROE 20.40%/不良債権率 2.70%)

●ロシア
ズベルバンク(ロシア貯蓄銀行) Sberbank of Russia →(ROE 20.60%/不良債権率 7.30%)

●インド
インドステイト銀行 State Bank of India(SBI) →(ROE 12.84%/不良債権率 3.28%)
ICICI銀行 ICICI Bank →(ROE 9.60%/不良債権率 3.85%)

●中国
中国工商銀行 Industrial and Commercial Bank of China (ICBC) →(ROE 22.79%/不良債権率 1.08%)
中国銀行 Bank of China (BOC) →(ROE 18.87%/不良債権率 1.10%)
中国農業銀行 Agricultural Bank of China (ABC) →(ROE 22.49%/不良債権率 2.03%)
中国建設銀行 China Construction Bank (CCB) →(ROE 22.61%/不良債権率 1.14%)

新興国ということで経営や財務の健全性を疑問視しがちなところはあるかと思いますが、以上のようにインドを除く3カ国のROE(Return On Equity、自己資本利益率)は20%前後と高水準で、中国に関しては不良債権率も低くなっています。

VISTAやCLMBなどは主に製造業が中心で、まだ金融機関が目立つ段階にはありません。しかし、先進国にはない若年人口の割合の高さとその増加率はとても魅力的です。

留学やビジネスなどで新興国に訪れるときは、その国の金融機関が活況かどうかを見ておくと、これから伸びるかどうかの指標となるかもしれません。