【コラム No8】GMAT/GRE®テスト対策に予備校は必要か?

【コラム】GMAT/GRE対策に予備校は必要か?
~効果的な独学方法とテキスト選びについて~

テスト対策を開始する際、それがどのようなテストであっても、

「テスト対策予備校に通う必要があるのか?」

という内容は皆さん必ず一度は検討されることと思います。

テスト対策予備校に通うことで、テスト対策のプロの講師から直接指導を受けることができるため、検討される方は多いと思います。ただ大学院留学を目指す方は社会人の方も多く、学生でも大学4学年のため卒業論文等で非常に忙しく、時間的、経済的に予備校に通うことが難しい方も多いと思います。ではGMAT/GRE対策のために予備校に通う必要はあるのか?という問題を検討してみましょう。

 

通常、IELTSやTOEFL対策で予備校に通うことで大きな効果が期待できるとすると、「答えが一つではないセクション」です。つまり、ライティングとスピーキングセクションです。なぜなら自由回答なため、自らの回答をご自身で添削や採点をすることが非常に難しいセクションだからです。回答を作成したとしても、その回答がいいのか悪いのか、といった単純なことも明確な回答がないため決めることができません。こういったセクションは、テスト対策予備校でプロの講師に添削等を繰り返されることが最も効果的な対策と言えると思います。

 

一方、リーディング、リスニングセクションに関しましては、「答えが一つ」なので、独学で十分対策が可能と言えます。昨今では回答だけでなく、各回答に対しての解説も非常に充実しており、適切な教材さえあれば、十分独学で対策が可能と言えるでしょう。むしろ対策予備校に通う効果と言えば、「勉強のペースメイカー的存在」、または「同じ境遇の友人・知人を作る」ということになるのではないかと思います。「自宅で問題を説き、予備校で回答と解説を講師から聞く」、というサイクルは、和書を含めて十分充実した対策本が出版されている昨今では十分独学で可能ではないかと思います。

 

ではGMAT/GREについて検討してみると、AWA以外は全て回答は一つ、つまり自由回答ではありません。必要なスキルは読解力と語彙力、そして数学力のみです。スピーキングやライティング力は必要としません。しかもテスト運営団体からオフィシャルガイド(公式対策本)まで出ています。もちろん洋書にはなってしまいますが、大手出版会社より多数出ていますので、必要に応じて対策を進めることが可能です。しかも、昨今ではインターネットの発達により、それらの対策本の中でどうしても理解が出来ない場合は、問題文を検索するとかなり高い確率で解説を行っているウェブページを発見することが可能です。

 

ではなぜGMAT/GRE対策は日本で進んでいないのか?テストの難易度ばかり先行し、勉強することを諦めてしまう方が多いのか?

 

それは世に出ている対策本のほとんどが洋書であることに他なりません。もともとはネイティブ用テストのため、そのテストの難易度もさることながら、テストの解説本に記載されている「テストの内容、傾向と対策」、そして「設問の回答に対しての解説」を理解することも非常に困難です。テストを知る、そして対策を開始する、ということ自体が非常に難しいテストと言えます。そのためテスト対策予備校に通うことを選択する方がいらっしゃいますが、考えて頂きたいのが、

 

「回答の解説を理解できない方が問題文を理解できるでしょうか?」

 

現代国語の問題で、回答に対する解説が理解できない日本語能力の方が、問題文を理解することが可能と言えるでしょうか?つまり、もし貴方が洋書の解説を読むことが困難であれば、GMAT/GRE対策を開始することは時期尚早ということになるかと思います。

 

もちろん洋書を読んで理解するより、講師に直接教えてもらってしまった方が時間の短縮になる、という目的であれば予備校に通うことも賛成できますが、それでも洋書の解説文は理解できる英語力を付けてから通われることをお勧め致します。

 

 加えて解説させて頂きたいことは、ここでは皆さんからの質問が多く、そして誤解も多いテスト対策のための教材の正しい選び方と使用方法です。時間的、経済的理由などから、予備校に通うことが難しい皆さんは、独学でご準備を開始されることと思いますが、GMAT/GREという非常に特殊なテスト対策を行う際の教材選びとその使用方法に関しては、非常に重要となり、特にGRE、GMATに関しては英語を第一言語としているネイティブ用のテストのため、その選択や使用方法、そして勉強の開始時期を間違えると、いくら勉強してもスコアが伸びません。

 

GRE、GMATに関する本格的な対策を開始する時期や、効果的な対策に必要な最低限の英語力に関しては、「第二部:GMAT/GRE®テスト対策に必要なスキルを付ける。」で詳しく述べていますのでそちらをご参考頂ければと思います。

 

ここではもう少しGMAT/GRE対策のための教材選びと使用方法についてもう少し解説していきたいと思います。GMAT/GREのテスト対策は、前述致しました通り独学でも十分進めることは可能です。独学で進める際最も重要なことは、

 

「日本語で分からない問題を英語で解けるわけがない。」

 

ということです。

 

GMAT/GREのテストがTOEFL/IELTSと最も異なる点は、TOEFL/IELTSはコミュニケーションツールとしての英語能力を図る目的のテストなのに対して、GMAT/GREはそのツールを使って学力を判断される目的のテストだということです。そのため、もし皆さんの第一言語(最も得意なツール)である日本語でGMAT/GREの問題が解けない場合、第二言語である英語で解くことはさらに難易度が上がるため、解くことができるわけがないということです(GMATのSentence Correctionパートのみ英文法の問題なのでこの限りではありません)。

 

以上のことから、GMAT/GREのテスト対策教材を使用される際、まずは日本語でテストの構成や設問の種類、そして各設問の回答ストラテジーを理解し、その後各テストの運営団体が発行しているオフィシャルガイドに移るのが最も効果的な対策となります。英語を第一言語である方にとっても難易度の高い学力を測るテストを、何の事前知識もないまま闇雲にネイティブスピーカーと同じように洋書を使用し対策を始めることは得策ではありません。モチベーションを持続することが非常に難しく、テスト対策を放棄してしまう方多いのもこれが理由です。特にGMAT/GRE共にQuantitative、Verbalと二つのセクションから成り立っていますのでより教材選びや使用方法は複雑化します。

 

そのため以下の方法でテスト対策教材を進めて下さい、

 

ステップ1:テスト対策に必要な事前知識を日本語で習得する。

本書を利用し、Quantitativeセクションで必要な数学知識の復習、そしてVerbalセクションの設問の種類と回答ストラテジーを日本語で習得する(問題は全て日本語訳を参考に説く)。

 

ステップ2:英語でGMAT/GREの問題を解いてみる。

本書のQuantitative、Verbalセクションの例題を英語のみで解いてみる。市販されている洋書の問題集は日本語での解説がついていませんので、本書の例題を英語のみで解き、再度日本語の解説を確認し各設問に精通しましょう。

 

ステップ3:オフィシャルガイドを利用し練習問題を解く。

ここで初めて洋書に移ります。GMAT/GREテスト対策書籍は洋書であれば数多く出版されていますが、まずはオフィシャルガイドで問題を解いてみるのが無難でしょう。この時期は、できるだけ各設問に精通するため、全ての設問(GMATのSentence Correctionの除く)を翻訳し、日本語でも問題の意味と回答方法を理解することをお勧めします。

 

ステップ4:オフィシャルHPの模擬テストを受験する。

GMAT/GRE共に各団体のオフィシャルサイトに対策ツールが用意されていますが、無料で受験できるオンライン模擬テストが用意されています。この時期に一度模擬テストを受験し、テストの全体像と難易度を把握していきましょう。

オンライン無料模擬テスト:

・GRE®テストオフィシャルHP

http://www.ets.org/

POWERPREP® II

・GMAT®テストオフィシャルHP

http://www.mba.com/

Free GMATPrep® Software

 

ステップ5:洋書の問題集を利用し対策を進める。

ここで初めてオフィシャルガイド以外の洋書の対策書籍を利用し対策を進めます。通常洋書の問題集は大型書店でないと手に入りませんので、アマゾンなどオンラインで入手することをお勧めします。

 

Barrons などが有名です。洋書の中には各設問に対しての解説が非常に不親切なケースもありますが、そういった場合は、理解できなかった問題をグーグルなどの検索エンジンに入力すると解説を確認することができることが多いのも特徴です(通常英語になります)。

 

上記オフィシャルHPでは、無料模擬テスト以外にセクション別に様々な対策教材が用意されています。また、その他主な洋書教材では、Manhattann GMAT、Manhattan Prep、 Princeton Review、Barron’s、Kaplanなどあります。セクション別に分かれた教材や専用の単語帳などだけでなく、一年に一回程度アップデートされ反版されていますので、最新の情報をもとに対策を進めることができます。

 

以上のように、GMAT/GRE対策には、IELTS/TOEFLとの違いをしっかりと理解し、効率よくテスト対策を進めることが非常に重要となります。