【コラム39】GRE or GMATを選択できる時代へ(第二部)~両テストの特徴と差異/適正確認の方法について~

昨今北米の大学院では、ほとんどのスクールでGREの代わりにGMATの提出を認め、さらにビジネススクールでもほぼ全ての学校でGMATの代わりにGREの提出を認めています。

(GREの代わりにGMATの提出を許可している学校は特にその旨をHP等で公表していないケースも多いので、希望する方は学校に直接お問合せ頂くことをお勧め致します。)

世界屈指のビジネススクールである、シカゴ大学でも最近下記のようなアドミッション情報が公開されました。

“Chicago Booth requires either the GMAT or GRE, but we don’t have a preference between them. They are different exams, so give yourself time to look into each before deciding which to take. Consider your strengths relative to the structure of each exam.”

つまり、「試験勉強を開始する前に、両テストの特徴や差異をしっかりと確認、把握し、そのうえでより適正に合ったテストを選択するように」、という指示を明確に公開しているのです。またどちらのテストでも有利不利はない、とも明言しています。

そのため、今は一昔前のように、ビジネススクールはGMAT、それ以外はGRE、というルールは適用しなくなっています。どちらのテストを選び、受験するかは出願者1人ひとりの采配に任されている、ということです。

そう考えると、GRE or GMATの問題は皆さんの大学院留学、特に北米(または欧州トップスクール)への留学を検討されている方には非常に重要な、留学の成功を左右する課題ということが言えると思います。

しかしGRE or GMATを詳しく比べた書籍やホームページは存在せず、このような皆さんの留学の成功を左右する重要な事柄を決める情報が現在欠落しているという状態です。そのため、今回は両テストの差異や特徴について少し深堀していきたいと思います。

まず両テスト内容を各セクションごとに比べてみます。

①Quantitativeセクションを比べる。
GMAT Quantitativeセクション
https://www.gpri.jp/format/quantitative.html
GRE Quantitativeセクション
https://www.gtri.jp/format/quantitative.html

②Verbalセクションを比べる。
GMAT Verbalセクション
https://www.gpri.jp/format/verbal.html
GRE Verbalセクション
https://www.gtri.jp/format/verbal.html

③その他セクションを比べる。
Integrated Reasoningセクション
https://www.gpri.jp/format/ir.html
Analytical Writingセクション
https://www.gtri.jp/format/awa.html

④その他注意事項を比べる。
GMAT受験制限及びスコアに関する注意事項
https://www.gpri.jp/purpose/attention.html
GRE受験制限及びスコアに関する注意事項
https://www.gtri.jp/format/awa.html

詳しくは以上をご確認頂ければ両テストの差異や特徴などご理解頂けると思いますが、ここでは少しその差異や特徴についてまとめてみたいと思います。

①Quantitativeセクションについては必要な数学知識は同等だが出願形式が若干異なるので適正を確認する必要がある。
②VerbalセクションはGMATは文法で点数が稼げる利点がある代わりに、GREは語彙力と読解力のみで勝負が出来るという利点がある。
③Quantitative 及びVerbalセクション以外では、GMATはIntegrated Reasoning+Analysis of an Argumentが必要となり、GREはAnalytical Writing(2本)となる。適正を見極める必要はあるが、一般的にTOEFLやIELTSの対策を別途行っている留学生にはGREの方が容易である。
④GMATは受験した全てのスコアがスクールに送付されるが、GREは最も高得点を選択しスクールに送付可能。
⑤GMATはCAT(Computer-Adaptive Test)の出題形式がとられているため、特に前半の正解率が悪いと立て直すのが非常に難しい(GREはCAT形式ではない)。
⑥GMATは生涯8回というルールがあるがGREにはない。
⑦合格者の両テストの平均スコアを確認するとGREの方が低いことが多い。
MIT Sloan School of Management
GMAT Average: 722
GRE Average: 164/161 =324 (GMAT:680)
http://mitsloan.mit.edu/mba/admissions/class-profile/
Harvard Business School
GMAT Average 730
GRE Average 164/164=328 (GMAT:710)
https://www.hbs.edu/mba/admissions/class-profile/Pages/default.aspx
以上のGRE合格者平均スコアを下記のツールでGMAT換算してみると、GMATの合格者平均スコアより一般的に低く出る。
GRE® Comparison Tool for Business Schools
https://www.ets.org/gre/institutions/about/mba/comparison_tool

以上簡単にではありますが特徴や差異を比べてみました。こうしてみると一概には言えませんが、TOEFLやIELTS対策を長い時間行っている留学生にはGREの方がよりシンプルでリスクが少なく適正は合っているのではないかというのが印象です。

特に最近追加されたGMATの生涯8回ルールというのは非常に留意する必要があります。例えば今回MBA留学を目指したが、キャリア的に数年先の方が適しているのではないかと思いなおした、という場合、最初の準備で5回程度受験してしまうと、本当にMBA留学を希望する時には残り3回しか受験チャンスがないことになります。

ただそういったリスクも加味し、全米のほとんどのビジネススクールでは現在GMATの代わりにGREを許可する傾向になっています。

以上今回はあまり情報がないGREとGMATを比べることを目的としてコラムを作成させて頂きました。

今はGRE or GMATを比べられる時代です、

是非皆さんにも安易にテスト選択せず、十分適正を確認してから対策を開始されることをお勧め致します。