【コラム No13】留学に代わるオンラインコースの紹介と可能性

【コラム No13】留学に代わるオンラインコースの紹介と可能性

今回は少し切り口を変えて、昨今非常に話題になることが多い、オンラインコース(インターネットで授業を履修することが可能なコース)についてお話をしていきたいと思います。

オンラインコースとは現在大きく二通りに分かれます、一つ目は各大学が単位履修や学位取得のために通学コースと比べると比較的安い授業料で提供しているコース(通学することなくオンラインの授業のみでコースを履修・終了できる)、そして二つ目は、各大学が様々なクラスを提供しているオンラインクラスの図書館のようなサイト。こういったサイトで提供されているクラスは全て無料でクラスを履修することができます。今回は後者を中心にお話しをしていきたいと思います

 

昨今では大手予備校などもオンラインコースを提供していますので、皆さんもオンラインコースについては馴染みがあると思います。さらにここ3年程度の間にアメリカの名門スクールを中心に、インターネット上で無料で授業を公開する取り組みが進み、日本でも企業の人材教育に一役買っているようです。

 

この流れはMOOC (Massive open online course)と呼ばれ、今後非常に急速に広がっていくものと思われます。従来のオンラインコースと異なり、オンライン上で他の受講者と議論したり、質問したりと参加型に進化していることが特徴です。また、実際にキャンパスで開講されているクラスと同じように、1回完結ではなく、クラススタートから終了まで学期を通して履修することができます(現在ではサイトにもよりますが1000~3000コースもの種類のクラスを開講しています)。

 

今回はこういったオンラインコースの種類、目的、そして今後について考えていきたいと思います。

 

まず現在アメリカを中心に無料のオンラインコースを提供しているサイトはいくつかありますので、下記まとめて紹介させて頂きます。

 

Edx (エデックス)

https://www.edx.org/

ハーバード大学とMITが共同で立ち上げたサイトです。比較的新しいサイトですが、現在両校以外にもUCバークレー、ANU、McGill、トロント大学、ボストン大学、そして昨今では日本の京都大学もコースを提供しています。

 

Coursea (コーセラ)

https://www.coursera.org/

スタンフォードの元教授が立ち上げたサイトです。こちらも多くの名門大学の授業が履修できますが、昨今では東京大学が参加を表明したことで話題になりました。

 

Udacity(ユーダシティー)

https://www.udacity.com/

こういった趣向のサイトでは最も歴史があります。スタンフォード大学の元教授が立ち上げ、主にコンピューターサイエンス系等理数系のクラスが充実しています。

 

Open Learning Initiative

http://oli.cmu.edu/

アメリカの名門大学、カーネギーメロン大学が提供しているサイトです。

 

iTunes U

http://www.apple.com/jp/education/itunes-u/

Apple Computerが提供しているサイトです。iPhoneやiPadで履修でき、現在では高等学校の授業も配信しています。

 

以上のように現在非常に多くのMOOC系サイトが存在します。そして驚くべきことに、これらのサイトで履修できるコースは全て無料となっています。

 

ここで私が疑問に思うことは、なぜ無料なのか、各名門大学がどういった目的でこういったサイトを運営、または協力をしているのか、という点です。

 

もちろん何らかの理由で学習機会がない方に無料で有意義なクラスを提供し、学習機会をできるだけ増やし、世界の教育改革(教育の底上げ)を行うことが最たる目的だとは思いますが、わざわざ莫大な費用をかけて特に私立の大学がこういったサイトを提供する目的は他にないのでしょうか?(実際にスタンフォード大学などに通う学生の保護者などからは、莫大な授業料を払っているのに無料でクラスを公開することは如何なものか、という不満もあったようです)

 

そこで少し調べてみたところ、現在最も有名なEdx (エデックス)の目的は、学習者の動向をリサーチすること、ということです。多い時で10万人以上も履修するオンラインコースでは、非常に莫大なデータを収集することが可能となります。そのデータを解析することにより、大学の今後の運営や開講クラスに役立たせようという狙いがあるようです。昨今日本の新聞などでもビックデータの活用法などが取り沙汰されていますので、現在の情報(データ)の重要性を考えると頷ける目的だと思います。

 

こういったオンラインコースを検討するうえでもう一つ重要なことは、知識を得ることと学位を得ることは異なるということです。一般的に海外の大学や大学院へ留学を検討されている方は、就職活動やキャリアアップのため、(クラスを履修することで知識を得ることも重要ですが)学位を取得したいと考えている方も多いはずです。しかしこういった無料のサイトで開講しているクラスでは学位を取得することはできません。また、クラス履修が終了しても、その大学の単位を履修したことにはなりません(昨今では費用が別途かかりますが、単位履修を認める大学も一部あります)。実際にedXは、「MOOCは世界の教育向上には貢献するが、大学の単位に代わるものではなく、実際のキャンパス生活に代わるものではない」、と言っています。

 

そのため、MOOCは学位や単位履修を目的とするものではなく、知識を得るもの、という言い方ができると思います。ただそのように割り切れば、MOOCの利用価値は非常に大きなものとなります。例えば何か知識を得たいと思い大学の書店などにいくと、洋書、和書を問わず5千円を超える書籍は数多く存在します、また書籍で知識を得ようとすると当然ながら読む労力が必要となります。しかしMOOCを利用することで無料で、しかも著名な教授に実際に教えてもらことができます。また、実際に授業を受けることで英語力向上にも繋がるでしょう。

 

つまり、MOOCは学位取得、またはキャンパス体験の代わりにはならないが、学びたいことが決まっている方(特定の知識を習得した方)には非常に有効、そして、興味のある分野のクラスを英語で履修することができますので、専門知識が付くだけでなく、英語力を向上することができる、という大きな利点があるということです。

 

これからもアメリカの大学を中心にMOOCはさらに発展されると予想されますので、以上をご参考に是非有効活用して頂ければと思います。